久しぶりにブリーダーさんの門をくぐったとき、
胸の奥でトン、と小さな音が鳴った。
緊張と、それ以上のワクワク。
前に訪れた日の記憶が、ふっと息を吹き返す。
この場所から、きっと新しい家族との物語が始まるのだ。
約束された通り、迎えるのは男の子。
案内された先には三匹の小さな命が、
まるで「ぼくを」「ぼくを」と言わんばかりに
つぶらな瞳でこちらを見上げていた。
ひときわ小さな子が2匹。
そして、ほんの少しだけ大きめの子が1匹。
それぞれが個性にあふれ、
小さく鼻を鳴らすたびに胸に沁みいるような可愛さがあった。
迷いながら、撫でながら、
抱き上げては心の中で問いかける。
――誰と歩んでいくのが、いちばん幸せだろう。
ブリーダーさんが静かに寄り添うように話してくれる。
その言葉を受け取りながら、指先に触れたのは
ふわふわとした毛の感触。
少し大きめだけれど、どこか落ち着いたまなざしをした子。
その手触りが、気持ちを決めた。
「この子にします」
気づけばそう口にしていた。
たった一瞬のようでいて、長い時間をかけてたどり着いた答え。
その瞬間から、まだ名前もないその子は
わたしたちの家族になった。
ぬくもりを抱えて家へ連れ帰る日を思い描く。
これからの日々は笑ったり、喜んだり、きっと失敗したり。
でもすべて、かけがえのない毎日になる。
――新しい物語の幕が、そっと開いた。


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